訴訟の概要
1 1997年4月23日提訴2 岩波三郎個人に対し、練馬区に金八億三三〇四万円返せという訴訟
3 土地価格が異常に高額
練馬区立春日町図書館を異常に高額で、かつ必要な手続きも取らずに取得。そのために練馬区は少なくとも適正な時価との差額である八億三三〇四万円の損害を被った。
@ 60平方メートルで1億
A 土地代金は、坪562万 高めに見ても、時価の約二倍の高値
B 図書館用地はすでに近くに取得済みだった
同じ権利変換計画の中で、中の宮児童遊園地を安く譲渡
換算すると一平方メートルあたり、約一一八万五〇〇〇円で譲渡。
図書館購入の土地価格は、前述のごとく一七〇万三二九九円。
つまり、処分した土地を、処分時の価額の一、四三倍の価額で購入。
C 区道191.21平方メートルはただで売り払っている。
D 土地の持分が多すぎる
E 練馬区は、「行政改革」中(区財政が厳しいと、言っていた時期)
このような時期であるのに、時価をはるかに超える高額で物件を取得するのは、裁量権を逸脱している
4 手続き上の問題点
練馬区財産価格審議会条例に基づく審議も経ていない
条例は「区有財産の取得、管理及び処分に関し」練馬区財産価格審議会をおき、第二条において右審議会は区長の諮問に応じて価格を評定して答申する、とされている。
訴訟報告
1 第2回口頭弁論期日が9月17日午前10時30分から東京地方裁判所606号法廷で行われました。
訴状に対し、被告が反論の書面を出してきました。その内容は@春日町開発の経緯を詳述し、この開発は、長い時間をかけて区の主導で進行してきたものだ、ということを強調。だから図書館を購入し、「本件事業の達成に協力すべきだ」と判断したというのです。
街づくりに行政が主導的役割を果たしたり、また協力したりするのは当然のことだと思います。しかしそれと高い買い物をすることとは別問題だと思いますが、、、。
A 価格が高いことに付いては、一つはこれは再開発事業の手続きで決定したからいいのだ、という理屈です。それから再開発の手続き内でも不動産鑑定士の鑑定に基づいて評価もしている、ということも言っています。
E 手続き的に議会の議決、および区の財産価格審議会を経ていない点はやはり、売買契約による取得ではなく、再開発事業に基づく権利変換によるものであることを大きな理由として、そのような手続きは不要と主張しています。やっぱり再開発って行政にとって魔法なんですね。
2 第3回期日が、11月10日午前10時30分、同じ法廷で開かれました。私たちの方から被告側の反論書面に付いて、もう少し事実を明らかにしてほしいという内容の書面を出しました。例えば私たちが一番問題にしている価格の点に付いては鑑定があるというのですから、それを出してもらいたいということ。さらに権利変換計画書の「誤記」なるものについては、「誤記」とわかった時期、判断の根拠を問うています。
このような書面を出したところ、裁判長は、これを被告に出してもらってまだ原告側は反論するんですか?と発言するのです。訴訟はまだまだ始まったばかりというのに、まだやるんですか?と言わんばかりの発言に、私はびっくりです。行政のやることに間違いはない、というのが前提なら、そんなに審理することもないのでしょうが、そういう考えがおかしいというのが昨今のオンブズマン運動の中で明らかになってきたことのはず。こういう裁判所の姿勢も変えていかないといけないと思いました。ただこういう現実も踏まえ、できる反論は早めにやっていって、裁判所にも私たちの主張の正当性を理解してもらう必要があります。
3 次回は1月27日。午前10時30分。同じ606号法廷です。私たちの反論の書面を出します。
監査請求
平成九年(行ウ)第一一四号
原 告 中 山 千 加 子
外一一名
被 告 岩 波 三 郎
一九九八年一月二七日
原告兼原告ら訴訟代理人
弁 護 士 土 肥 尚 子
同 望 月 浩 一 郎
同 野 澤 裕 昭
同 渕 脇 み ど り
原告ら訴訟代理人
弁 護 士 小 薗 江 博 之
東京地方裁判所民事第三部 御中
第 四 準 備 書 面
平成九年九月一七日付被告準備書面(一)について
一 右書面第二「一(1)取得価格一般」について
被告の主張は、一つは、本件図書館の取得は第一種市街地再開事業であり、右事業においては、売買契約のごとく当事者の自由な意思決定に基づいて決定されるのではない、というものである。
すなわち右事業の手続きにより決定され認可された権利変換計画に基づく権利変換処分によって原始取得したのであるという。
しかしながら、本件事業における本件図書館の価格の決定過程の問題は別論として、仮に右決定が何ら瑕疵無く行われたとしても、それのみで被告が免責される理由はない。
ことに被告も主張する通り、本件事業は全員同意型であり、「全員同意型における権利変換計画の内容は、法が原則型の再開発事業について定める多くの制約をうけず、組合においてこれを自主的に決定することができるものとされている。」(被告準備書面一三頁)
すなわち原告の取得価格も含め、組合において決定されているのであり、練馬区もその組合の組合員(参加組合員)として、決定に参加しているのである。
被告は練馬区の長として、右決定に際し、区の利害、財政状況などを踏まえ、価格を初めとする権利変換計画の内容に付き、検討し、意見を言うなどして練馬区としての独自の判断をする義務があったものである。市街地再開発事業においては、何か自動的に価格が決められてしまい、練馬区の独自の判断はできないものであるかのような被告の主張は誤りである。
二 同書面「三 先行取得土地との関係」
被告は本件を、「図書館の位置の変更」として「行政裁量の範囲内」とする。しかしながら、本件においては、先行取得用地に図書館を開設することが決定していながら、本件再開発事業救済の為、わざわざエリム春日町内に図書館を持ってきた、そのために先行取得用地が宙に浮いてしまったという経過である。
すなわち、図書館建設自体は地元住民の要望があり、請願も出されて、平成三年四月に用地が取得され、開館時期も決まっていたものである。なおこの請願は被告の言う昭和六二年の請願ではない。昭和六二年の請願は多目的施設であり、図書館は「多目的施設」ではない。
平成に入ってから、(多目的施設ではなく)図書館建設の請願が練馬区議会で採択され、練馬区としても図書館建設を予定して土地を購入したのである。
ところがその直後に本件再開発の採算が取れなくなったため、その救済の為、計画を変更し、急遽図書館として再開発ビルの床を購入することを決めたというのが、真相である。それゆえ、図書館用地として購入した土地はまったく無駄になったのである。
こうした経緯から見れば、単なる「図書館の位置の変更」ではなく、行政裁量の範囲内とは言えないものである。
なお現状は…
三 同書面「五 区道付替え関係」
1 再開発事業で整備される道路などの公共施設の所有権の帰属については、都市再開発法第八二条に規定があり、従前施設に代えて設置される公共施設の場合は、従前の公共施設の土地の所有者に、そうではない新たな公共施設の場合は当該公共施設を管理すべき物に帰属すると定められている。この条文は被告も主張するとおり本件のような全員同意型の再開発事業にも適用されるものである(右書面一三頁)。
被告の主張する「付け替え」なる概念の具体的内容が必ずしも明らかではないが、公共施設(道路)の管理者が都であるから、都を所有者としたのであれば、道路は新たな公共施設であるとの主張であろう。そうとすれば元の練馬区所有の道路は廃止されたはずであり、原告ら主張の通り、区の財産であった道路敷をただで再開発組合にあげてしまったということとなる。
従前道路と従後の道路に同一性があるという主張であれば(「付け替え」というのは普通そういう意味である)、第八二条によれば従前の所有関係はそのまま引き継ぐはずである。
被告の言う「付け替え」というのがいずれの主張であるのか明らかにされたい。
2 被告は、「区道を都に移管したことによって区に財産上の損害が生じたということは出来ない」と主張し(同三一頁)、その理由として第一に道路法上の道路敷の所有権の財産敵価値は名目的なものにすぎない、とする。しかし、その理由は被告も主張するとおり道路は「公共用公物として一般交通の用に供しなければならないものであり、道路敷の私権の行使は重大な公法上の制限を受けているから」である。
これを本件の実態に即してみるなら、従前道路の主要練馬区道一七号線(豊島園通り)については、本件再開発ビルの宅地になっているのであり、前述の理由はまったく成り立たない。道路は道路として使われる限り、いわゆる取引価格という意味での市場価格は低いが、それが道路としての用途をやめて、宅地として用いられるのであれば、低く評価する必要も、合理性もない。
さらに言えば、例え道路法上の道路敷であるからといって、財産評価がゼロであると決まっているわけではない。実際の道路の通行状況、今後の使用予想なども勘案して評価されるものであり、必ずしもゼロ評価が妥当であるとはいえないものである。
被告の主張する理由の第二は、管理者となれば道路の維持管理費も負担するのであり、都が管理者となれば、その負担を免れることをあげる。しかしこのような理由はまったく本末転倒もはなはだしいものである。財産を所有すれば維持管理費がかかるのは当然のことである。そのことと、その財産を所有したほうがいいのかどうかの判断はまったく別に行われるはずのものだからである。
以上