2005年度「プールのヤゴ救出作戦」
2005.6.6 & 2005.6.11


プール開きをひかえた6月6日、6年生の「総合的な学習」の授業として、上小では通算6度目の「プールのヤゴ救出作戦」が行われました。

例年通り、まずプールへ移動する前に、田中つとむ隊員からヤゴの種類、カウントの仕方などのレクチャーを受け、その後プールへ移動し、ヤゴ救出を行いました。
各クラスとも「捕獲部隊」と「計数部隊」の2グループにわかれ、「捕獲部隊」がプールからヤゴをすくいあげ、それを「計数部隊」が種類別に分けてカウントしていく、という方法をとりました。

この日救出されたヤゴの総数は以下の通りです。
(参考までに過去5年のデータも記載)

ヤゴの種類 2005年の数 2004年の数 2003年の数 2002年の数 2001年の数 2000年の数
アカトンボ型 103 2265

2595

1929 1116

6801

ショウジョウトンボ 1
0

3

4 0 2
シオカラトンボ型 163 1

240

581 65

33

ヤンマ型(ギンヤンマ) 639 88

404

197 350

0

イトトンボ型 33 158

10

2

3

0

合   計

939 2512

3252

2709 1534 6836

※ショウジョウトンボのヤゴについて
児童はとりあえずアカトンボ型としてカウントしますが、アカトンボの仲間ではないこと、また体つきがあきらかにコノシメなどとは違い、終齢サイズならはっきりと見分けられることから、わかったもののみ別カウントしています。

※2000年にヤンマ型とイトトンボ型のヤゴがいないのは、まだ「ヤゴおさそいセット」等の取組みをしていなかったためです。

※2001年のヤンマ型は救出時には350でしたが、救出前に教材として近隣小学校にさしあげたもの、またヤゴサポーターをつかって羽化したものをいれると、350よりも100ほど多い数字になります。


前年度2004年のデータと比較して次のような変化がありました。

1.ヤンマ型のヤゴは、過去6年間で最も数が多くなった。
2.アカトンボ型のヤゴは、過去6年間で最も数が減った。
3.シオカラトンボ型がまた数を増やした。

例年4桁は数えるプールのヤゴが、初めて3桁台になりました。
一番の理由は例年一番数が多いアカトンボ型が数を減らしたことによるものです。
それに比して、ヤンマ型が過去6年間で一番数が多い、ということも大きな特徴となりました。

区内他校データとの比較

昨年度光が丘第1小学校へ移動された松田先生より、今年度の光が丘第1小学校プールのヤゴ救出結果を教えていただきました。

ヤゴの種類 2005年上石神井小 2005年光が丘第1小 2004年光が丘第1小
アカトンボ型 104

4

193

ショウジョウトンボ 0

0

シオカラトンボ型 163

0

0

ヤンマ型(ギンヤンマ) 639

275

12

イトトンボ型 33

0

1

合   計

939 279 206

光が丘第1小・・・・・・2005年は6月6日実施、2004年は6月8日実施
光が丘第1小でも昨年の秋にプールに草を投入して、ギンヤンマやイトトンボの産卵を助ける工夫をしており、取り組み方法は上小とほぼ同じです。
上小と比較すると数は少ないものの、ヤンマ型が多く、アカトンボ型が少ない、と言う点で共通しています。

なぜヤンマ型が増えたのか?

 ヤンマ型(ギンヤンマ)のヤゴが増えたことの理由としては、まず、産卵数が増えたのではないか、ということが考えられます。
 ギンヤンマ(成体)は、水草など水面から出た、あるいは水面近くにある植物の茎に卵を産みます。2000年には前の年にプールに草を入れておくことをしなかったために、ギンヤンマのヤゴはゼロですが、その後は救出前年の秋に、プールへ草を浮かせておく工夫をするようになったため、ギンヤンマがその草に産卵し、ヤゴの数を増やすようになりました。同時にアカトンボ型のヤゴが減少するようになり、探検隊では、ギンヤンマのヤゴがアカトンボ型のヤゴをえさとするため、ギンヤンマのヤゴが増えるとアカトンボ型のヤゴが数を選らすのではないか、と考えました。もし、単純にギンヤンマと赤とんぼ型のヤゴの数が、えさをとるものとえさとなるものの関係であれば、その両者の数には、比較的きれいな負の相関がみられるのではないでしょうか?

 ところが、2001年以降のギンヤンマとアカトンボ型のヤゴの数を調べると、そう単純な関係ではないように思われます。確かにプールの中でギンヤンマのヤゴのよいえさになるのは、他のアカトンボ型やシオカラトンボ型のヤゴであることは間違いありません。ギンヤンマのヤゴが増えれば、そのほかの小型のヤゴが減ることは事実なのだと思います。しかし、データでその関係がきれいに表れないのは、そのほかの要因も大きく影響しているためではないでしょうか。

 これは大胆な予測ですが、そもそもの産卵数が増えたり減ったりしているのではないか、ということが考えられます。
 まず、ギンヤンマのヤゴが今回大幅に増えたことを考えてみましょう。昨年のプールと今年のプール(実際には一昨年の秋から去年の初夏までのプールと、 去年の秋から今年の初夏までのプール)の違いはなかったのか。一つ大きな違いがありました。それは、一昨年秋までは、プールに投入する草を係留せず、水面上を自由に動くようにしていたのに対し、昨年の秋に草をいれたときには、ロープで固定したということです。固定しなかったときには、風などで草のかたまりは、プールのはじのほうで一カ所にまとまっているものが多くありました。それに対し、草を固定した場合、比較的プール全体に草が間隔をあけて浮いていました。
 ギンヤンマはなわばりをつくって、草に産卵します。自分が産卵しようとしている草の周辺に別の個体が近づいてくると、追いはらおうとします。
 たとえば10の草が入れてあっても、そのうち8がひとかたまりになっていれば、ギンヤンマの産卵のためのなわばりは3つしか確保されないことになります。
 もし草が一定の間隔をあけてプールに浮いていれば、10の草は10匹のギンヤンマの産卵のための場所になります(実際は近すぎてなわばりが重なることがあるでしょうけれども)。これによって産卵数が変わることが予想されます。
 今年ギンヤンマのヤゴの数が増えたのは、産卵のためのなわばりがいくつも確保されたからではないでしょうか。

 それではアカトンボ型のヤゴが数を極端に減らしたのはなぜでしょう?
 たしかに、ギンヤンマのヤゴが増え、そのえさになってしまってアカトンボ型のヤゴが数を減らしてしまったことも事実だと思います。しかし、それ以上に、ギンヤンマの産卵場所が増えたことが、アカトンボ型のヤゴが数を減らしていることに関係しているのではないでしょうか。
 プール全体にギンヤンマのなわばりが広がり、ギンヤンマの産卵数は増えたけれども、アカトンボ(多くはコノシメトンボ)がギンヤンマがいるために産卵できなかったのではないか。そんなことも予想できます。ギンヤンマは、なわばりに近づくと、それが同じギンヤンマではなくてもなわばりの外に追い出そうとします。そのためにアカトンボたちが水面に卵をうみおとせなかったのではないか。ただしこれはあくまで予想です。水質が変わったり、上小周辺の環境が変わったり、なにかトンボたちにとって大きな変化があったのかもしれません。また、たんなる偶然(たまたまプールに近づいたギンヤンマが多くて、コノシメトンボが少なかったなど)かもしれません。

 これまでの結果からヤゴの数の増減を考えるには、まだまだデータが足りません。また、これまでとは違った工夫をして、データを集めることも必要かもしれません。
 たとえば、プールを完全に半分に仕切り(ヤゴの行き来ができないようにして)、片側には2000年のときのようにプールに草を入れるのをやめて、来年ギンヤンマのヤゴがいなくなるか、そしてアカトンボ型のヤゴが増えるかを確認するのも興味深いことです。

 これからも、いろいろな側面からさまざまな工夫を凝らし、こどもたちと一緒にヤゴ救出をしながら、生き物たちの生活の様子やそれらの関係、そして環境や自然のことを調べていきたいと思います。



2005年度上小プールのヤゴ救出

6月6日、ヤゴ救出の日です。

6年生はまず図書室に集合し、田中つとむ隊員からヤゴのとりかた、分類のやり方のレクチャーを受けました。

上小では見た目の形、体の大きさ、顔の形などによって「イトトンボ型」「ヤンマ型」「シオカラトンボ型」「アカトンボ型」に分類しています。

レクチャー終了後、プールに移動。

捕獲班は、プールの中にはいってヤゴをつかまえ、分類はせずに、プールサイドに置いたケースにいれていきます。
計測班はヤゴを受け取り、形などを確認して種類別に分け、数を記録していきます。
ヤゴをすくう捕獲班。
足の保護のため、古い靴下をはき、その上に古靴をはいてプール内に入ります。

手にもつのは毎年おなじみの100円ショップで購入した網目のあるプラスチックケース。
適度に泥が落ち、ヤゴがひっかかるという優れものです。

ヤゴは水面ではなく、プール底の泥の中などにいるので、なるべく底のほうを丹念にさぐっていきます。
捕獲班がつかまえたヤゴはプールサイドに待機している計測班に渡されます。
計測班は大きさや形を見て、レクチャーを受けたとおりにヤゴを分類し、数を数えます。

「今年はヤゴが少ないような気がするなぁ・・・」
救出を終え、クラスごとに今日の成果を発表しました。
ギンヤンマが600を超えたのは過去5年間で初めてのことです。

このあと6年生が救出したヤゴたちは、各クラスや希望者の家に引き取られて、羽化するまで大事に育てられます。


探検隊による上小プールのヤゴ救出

続いて6月11日、今度は探検隊のしぜん教室が開かれました。

6年生のときと同じく、まずは田中さんより「上小にはどんなトンボがやってくるのか」の説明がありました。
次に「トンボはどうやってヤゴからトンボに羽化するのか」を、田中さんの撮影したギンヤンマの羽化画像を見てみんなで学びました。
(←画像は羽化したばかりのギンヤンマの実物を子どもたちが見ているところです)

そのあと、ヤゴはどのようにして見分ければよいのかの話を聞いて、いよいよヤゴを捕獲しにプールへ向かいます。
みんな手にカゴや網をもち、プールの中のヤゴを探します。
最後に片側1列に並んで、みんなでいっせいにカゴを反対側に押して、ヤゴを追いました。
つかまえたヤゴは、希望者に分けられました。

(←画像はペットボトルを手に、ヤゴをもらう順番待ちをしているところです)

ヤゴがどんなトンボに育ったか、羽化したトンボはぜひ学校にも持ってきてくださいね。

  

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