2003年度「プールのヤゴ救出作戦」
2003.6.5


プール開きをひかえた6月5日、6年生の「総合的な学習」の授業として、上小では通算4度目の「プールのヤゴ救出作戦」が行われました。

まずプールへ移動する前に、田中つとむ隊員からヤゴの種類、カウントの仕方などのレクチャーを受け、その後プールへ移動します。
各クラスとも「捕獲部隊」と「計数部隊」の2グループにわかれ、「捕獲部隊」がプールからヤゴをすくいあげ、それを「計数部隊」が種類別に分けてカウントしていく、という方法をとりました。

この日救出されたヤゴの総数に、2日後に行われたしぜん教室でのヤゴ救出数を加えた数が以下の数字です。
(参考までに過去3年のデータも記載)

ヤゴの種類 2003年の数 2002年の数 2001年の数 2000年の数
アカトンボ型

2595

1929 1116

6801

ショウジョウトンボ

3

4 0 2
シオカラトンボ型

240

581 65

33

ヤンマ型(ギンヤンマ)

404

197 350

0

イトトンボ型

10

2

3

0

合   計

3252

2709 1534 6836

※その他…ヒル数匹、フタバカゲロウ数匹、コミズムシ(多数)、サカマキガイ(多数)、アメンボ(多数)、それに今年初めてスジエビが2匹いました。
ヒル、サカマキガイ、エビ類などはプールに飛来するカルガモの脚などについて、外からやってきたと考えられます。

※ショウジョウトンボのヤゴについて
児童はとりあえずアカトンボ型としてカウントしますが、アカトンボの仲間ではないこと、また体つきがあきらかにコノシメなどとは違い、終齢サイズならはっきりと見分けられることから、わかったもののみ別カウントしています。

※2000年にヤンマ型とイトトンボ型のヤゴがいないのは、まだ「ヤゴおさそいセット」等の取組みをしていなかったためです。

※2001年のヤンマ型は救出時には350でしたが、救出前に教材として近隣小学校にさしあげたもの、またヤゴサポーターをつかって羽化したものをいれると、350よりも100ほど多い数字になります。

前年度2002年のデータと比較して次のような変化がわかりました。

1.シオカラトンボ型のヤゴが数をへらした。
2.シオカラトンボ型はそのほとんどがオオシカオラではなく、シオカラトンボのようだ。
3.ヤンマ型のヤゴの数は昨年よりも増えた。
4.アカトンボ型のヤゴが増えた。

昨年から今年にかけて(2002〜2003年)の東京の冬は大変寒く、東京にしてはめずらしく積雪も2度あったので、ヤゴの成長はかなり遅れているのではないか、と救出前は考えていました。
実際立川市でヤゴ救出のお手伝いをされている環境学習リーダーの情報によれば、寒波の影響でヤゴの生育は遅れており、今年救出したものは小型のものが多いとの情報もいただいていたのです。

しかし実際にヤゴをあげてみると、全体的に小型だった昨年(2002年)に比べ、ヤゴの成長は早く、シオカラトンボ型には終齢サイズのものがそこそこいました。そこで、昨年はヤゴが小さくて同定不可だったシオカラトンボ型のヤゴについて、調べてみることにしました。

「日本産トンボ目幼虫検索図説」によると、『オオシオカラトンボは側刺毛が7本、シオカラトンボは3〜6、多くは5本』との記述があります。
この記述にしたがい上小のヤゴを調べたところ、まだ同定が難しい小さな個体以外は、すべて側刺毛の数が5本であり、シオカラトンボのヤゴらしいということがわかりました。
これから6年生の教室でこのヤゴを育て、羽化させて確実な同定を行ないたいと思います。
(→その後、6年生の教室で羽化した個体はすべてシオカラトンボでした)

ヤンマ型のヤゴは一番数が多かった2001年についで多くなりました。
この2年間、ヤンマ型が増えると減る傾向にあったアカトンボ型も、今年は「おさそいセット」を投入するようになって以来、もっとも多い数となりました。
アカトンボ型はヤンマ型のエサになっているのでは、と今まで探検隊では考えていましたが、それを上回る産卵数があったとも考えられますし、またそういった相関関係が成り立たない可能性も出てきました。
来年以降もデータを取りつづけていきたいと思います。

来年度の課題はイトトンボ型ヤゴの捕獲です。
イトトンボ型の数が少ないのは、決していないからではなく、捕獲が難しいからなのです。
イトトンボ型はヤゴが細くて小さいので、あらい網目のカゴにはひっかかりにくく、また見つけにくいので、なかなか6年生が捕まえることができません。救出前に「ヤンマおさそいセット」を片付けたときには、セットの周囲にたくさんのイトトンボのヤゴがいたことを隊員が確認しているので、数はいるはずです。今後あらたな捕獲の方法を考えていきたいと思います。

2003年度ヤゴ救出まで

トンボ池のギンヤンマの羽化がらです。

今年の初認は昨年より4日遅れの4月26日でした。

トンボ池の羽化がらが発見されると、そろそろプールでも「ヤゴサポーター」の出番となります。
上小では、すっかりおなじみになった光景です。

今年はこのヤゴサポーターを使って羽化するものがこの3年で一番少ない数でした。
(ヤゴ救出前日までに11匹のみ)
羽化の日は6月2日と3日に集中していました。

やはり冬の寒波の影響で、トンボ池よりも水が深く、水温が冷たいプールではヤゴの成長が遅れていたのかもしれません。

6月5日、ヤゴ救出の日です。

例年通り、6年生はまず図書室に集合し、田中つとむ隊員からレクチャーを受けました。

見た目の形、体の大きさ、顔の形などによって「イトトンボ型」「ヤンマ型」「シオカラトンボ型」「アカトンボ型」に分類する、というやり方を学びます。

今年のヤゴ救出には練馬区報とテレビ東京「おはスタ!」の取材が入りました。

子どもたちに大人気の「おはスタ!」の「番長」が6年生の間に仲間入り。
一緒にヤゴを救出するために、田中隊員の説明を熱心に聞きます。

番長「質問!ヤゴってぇのは食えるんでしょうか?」

田中「う〜ん、あまり聞いたことはありませんが。でも食べられるかどうかは実際に食べてみればわかります。試してみてください。」

番長「わかりましたぁ!」

いよいよプールにはいってヤゴの救出です。

ケガをしないよう、古い靴下をはき、その上に古靴をはいてプール内に入ります。
手にもつのは毎年おなじみの100円ショップで購入した網目のあるプラスチックケース。
適度に泥が落ち、ヤゴがひっかかるという優れものです。

番長も救出のお手伝い。

子どもたちからヤゴの種類を教わり感動する?番長。

救出を終え、クラスごとに今日の成果を発表します。

各クラスとも、なかなかの成果。合計すると「ヤンマおさそいセット」を投入するようになって以来、一番ヤゴの数がたくさんいたことがわかりました。

このあと田中隊員からヤゴの飼育方法、羽化するときの観察の注意点などを聞き、今年の6年生によるヤゴ救出は終了しました。このあとヤゴは6年生の教室や希望者の自宅で、羽化するまで大切に育てられることになります。

 

(番外編)番長の質問 「ヤゴって食えるんでしょうか?」 について・・・

日本でも長野県伊那のほうでは、川虫、とくにトビゲラやカワゲラの幼虫などをザザムシと呼んで、佃煮にして食べます。また、ヘビトンボの幼虫も食べるようですが、トンボといっても、ヘビトンボはトンボの仲間ではなく、ヘビトンボ科の昆虫で、やはりトビゲラヤカワゲラに似たものです。このザザムシの佃煮をヤゴの佃煮と思っている人もいるようですが、日本にも本物のヤゴを食べる地方があるのでしょうか?

隊員が調べたところ、海外にヤゴを食べる習慣がある国を見つけました。中国雲南省ではヤンマの串揚げが屋台などで売られているとのことです。また昆虫食で有名なタイでもヤゴは食べられているそうです。

参考までにこんなHPがありますので、昆虫食に興味のある人はぜひ見てください。
(社団法人 農林水産技術情報協会HP「昆虫科学館」より「虫を食べる話」)

http://www.afftis.or.jp/konchu/hanasi/h08.htm

実は上小児童の中に、「興味があったからみそ焼きにしてヤンマのヤゴを食べてみた」という勇気ある告白をしてくれたお友だちがいました。
味はかりっとしていて、なかなかおいしかったとか。
興味があったとしても実行に移すのはなかなか難しいことなのに、自分自身でそれを経験してみたのはすごいことだと隊員は思います。
今までヤゴを食べる、という発想自体が探検隊にはなかったので、それに気づかせてくれた「番長」にも感謝します。

外国の屋台で売っているヤゴの串揚げなどは、食用に養殖されたヤゴを使うのだそうです。
残念ながら上小トンボ池のヤゴは、そもそも食用を前提としていません。
このHPを見てヤゴを食べてみたくなった人、お金をためて食用ヤゴを売っている国に旅をしてみてはいかがでしょう。


2日後に行われたしぜん教室でのヤゴ救出

6年生によるヤゴ救出作戦の2日後、探検隊のしぜん教室がひらかれました。
ここでは2日前の救出の結果報告を行い、現在の上小のプールにはどんなヤゴがいるのか、また数はどれくらいかという情報を共有しました。
最後に希望者にプールへ入ってもらい、2日前に取りきれなかった残りのヤゴをすくってもらいました。6年生によってほとんどすくいきったと思われていたにもかかわらず、この日だけでもアカトンボ型のヤゴが500匹以上みつかりました。

まずは田中つとむ隊員から、上小プールで例年見られるヤゴの種類やその見分け方を教えてもらいます。
手に家からもってきたアミなどをもち、いざプールへ。

6年生がすでにとったあとにもかかわらず、けっこうな数のヤゴがいました。
土屋隊員(真ん中)が手に持っているのは台所の排水口用のネットです。
あみよりも目が細かいので、これで小さなイトトンボのヤゴをすくおうというわけです。

イトトンボのヤゴは小さいため6年生はなかなかすくうことができませんでした。
今日はイトトンボのヤゴをがんばってさがそう!ということで排水口用のネットが登場したのですが、
このネットをしてもなかなかイトトンボのヤゴはすくえませんでした。
ぼくもヤゴみたいに泳ぎたくなったよ。
この日つかまえたヤゴです。(手前がギンヤンマのヤゴ、奥がアカトンボ型のヤゴ)

ペットボトルなどを持参した子どもたちに、家での飼育法を書いたプリントとともにヤゴを持ち帰ってもらいました。

みんなの家で何匹が羽化できるか、楽しみです。