「飛ぶタネのおはなし」

おはようございます。しぜん探検隊の土屋です。
今日は、数ある「ねりま遊々スクール」のなかで、私達のしぜん探検隊に遊びに来てくれてありがとうございます。
調べたら、今日は10ケ所で遊々スクールをやっているんだけど、驚いたことにタネの話を他のところでもやってるんですね
土支田の児童館で手品教室をやっています。よく「手品のタネあかし」とか言うでしょ。
向こうは、タネがあって、もしかしたらハトが出るかもしれないんですね。でもそれ以上の物は出ないでしょう。
で、こっちのほうは植物のタネですから地味なんですけど、タネからは芽が出て、根も出て、さらに葉も出て、花が咲いて、また、タネが出来る。
これって素晴らしいじゃないですか。それを半永久的にくり返すことも出来る。

こちらも負けられませんから、タネからハトは出せないんですけど、ハトのように飛ぶ本物のタネがあるんです。
ホントかな〜!?  それを後でお見せします。楽しみにしてね。
その他にも簡単なタネの模型を5種類ほど皆さんに作ってもらい、それを校庭の高いところから飛ばして遊びたいと思っています。校庭の高いところってどこでしょうかね?
えへへ、それは秘密!!
まあ、だまされたと思って2時間ほど一緒に遊びましょう。

では、みなさん、最初に元気よく立ち上がってください。これから皆さんに1つだけお聞きします。
今日みんな朝ごはん食べてきましたよね?
朝ごはんでタネを食べてきた人、あるいはタネを使った食べ物や料理を食べてきた人、自分は食べてきたよという人は、座ってください。

どうでしょうか?
じゃあヒントをあげます。
お米のごはんやパンを食べてきた人座ってくれる?
お味噌汁やコーンスープ、コーヒーなども食べてきた人、座ってくれる?

いま座った人に聞くけど、お米は何のタネですか?
5年生、今年栽培したでしょ。知ってるよね!(「イネだよ!」の声)
パンは何のタネから作られていますか?(「小麦!」の声)
まだ、立って入る人がいますね。何を食べてきたのか興味ありますね。
誰か1人くらい教えてくれますか。お肉をたべてきたのですか。何ですか。
 「肉まん!」
外側の白いところは、コムギのタネの粉(小麦粉)から作られているよ。
では、みなさんありがとう、座ってください。

こうしてみると、人間ってけっこうタネを食べてますね。
何のために食べるかというと、栄養があるからですね。
人間は生きるために、主に食べるものは、お米とか麦とかの穀物ですね。
そういうものは人間がタネをまいて出来たものをとっていますね。人間はそういう生活を6000年位前からやっているわけです。

それじゃあ、人間がまかないような、タネを作る植物はどうやってタネをまいているのでしょうね。
タネを作る植物は人間より古く約4億年前に地球上に生まれたといわれているのです。
でも人類が誕生したのは猿みたいな類人猿としても約170万年前ですから、植物よりずっと後です。もちろん地球が出来たのはもっと古く46億年前といわれてます。

でも、そんな数字を言っても、なんだかよくわからないよね。
地球ができてから今日までを1年に置き換えると、分かると思うよ。
1月1日のお年玉をもらっている時に地球が出来たとすると、タネを作る植物が地球上に誕生したのが、今日ぐらい11月15日頃だね。
それで人類が誕生したのが、12月31日の午後11時38分くらい、あと20分くらいでちょうど1年だ、そんな感じなんだよ。つまり植物のほうが人間よりも先輩なんだね。
大昔はもちろんまいてくれる人間もいませんから、その頃から今日までの長い間、植物はさまざまな工夫をして、タネを遠くに飛ばす方法を身につけてきたのです。
秋になると、多くの草や木にいろんなタネや実が出来て、いろんな方法でタネをまいていますね。
その方法は5種類くらいに整理できそうです。
皆さんがよく知っているものが多いので、いっしょにおさらいしてみましょう。

1. 水にながされて運ばれるもの

たとえば、こんなもの見たことありますか? 何でしょう。(「ヤシの実!」の声あがる)
そう、ヤシの実ですね。南の島にある椰子の木になる実です。堅い殻で守られ、海流にのって日本まで流れ着くことがあるそうです。、流れ着いたところが育つのに適したところだと芽が出るのです。
なんせ海水に2年間浸かっていても、ちゃんと発芽するそうです。

校庭にもヤシの実のようなものは何かないかな? と調べてみました。
トンボ池のところにジュズダマがありました。中に空気が入っていて浮きます。

この仲間は、タネが水にながされて運ばれ、運ばれた先の条件が良いと、そこで発芽して子孫を増やしていくのです。

 

2. 自分ではじけて、ばらまかれるもの

これ、何ですか?
3年生は授業でならったからわかるね?

そうホウセンカですね。
タネが出来上がった頃、実の皮が膨らんで、くるっと剥けてタネが飛び出します。

校庭の砂場の上にこんなものがぶら下がっていました。見たことあるでしょう。
あきらかにマメの仲間ですね。フジです。

タネが出来上がった頃、乾いた皮がよじれてタネがビーンって飛び出します。
それで、この皮、乾いてよじれたんですね。これを水に入れたらどうなるでしょうか。
(まっすぐになりますよ。)

他にも、黄色の花が咲く、クローバに似た葉っぱのカタバミなんかもタネが飛び出すタイプですね。

 

3. 動物や人間にくっついて運ばれるもの

こんなタネがあります。知っているかな。

秋、この季節に公園なんかで遊ぶと、ズボンとか上着にタネがいっぱいくっつくことがありませんか?しかもなかなとれない。その大親分がこのオナモミです。最近だいぶ減ったように思いますが見たことありますか?

トゲトゲですが、さわってもクリのイガほど痛くはありません。
なぜならトゲの先が曲っているからです。なのであまり痛くない。
でも曲がっているために一度何かにくっつくと、それがカギのようになってなかなかとれないのです。
こうやってタネ自身を動物に運ばせ、移動するのです。

さて、このオナモミを見てスイスの人はあるものを発明しました。
さて何でしょう?ちなみにその人は今、億万長者です。

1.セロテープ 2. クラフトテープ 3. マジックテープ 4. ビデオテープ

皆さんわかりましたね? そう、答えは3のマジックテープです。
皆さんも、ただブラブラ歩いていないで、何かないかなーなんて、お金持ちになる可能性を見つけてくださいよ。
まだまだ植物から学ぶことはいっぱいありますから。

校庭でこれに似たものをさがしてみると、バッタ原っぱの一番奥にイノコズチがありました。これもタネの先に包が3本あり、短い2本が曲って反り返っています。こうして動物にくっつきやすく、運ばれやすくなっているのです。

4. 動物に食べられて運ばれるのもの

これは何かわかりますか?(「クルミ」の声)
これを食べる動物は何ですか。(「リス!」) そう、リスやネズミです。

クルミやどんぐりはそのまま下に落ちてうまく芽が出ることもありますが、大体は大きな木の影になってほとんど芽が出ないわけですね。

リスやネズミなどが、運ぶ途中で落としたりしたものや、巣や食べ物の貯蔵庫に運んだもので忘れてしまったものから芽がでることがあります。
こうして食べられることを前提に自らを動物に運ばせるわけです。

また秋になると、このような赤い実がなる植物を見かけますね。(画像はサルトリイバラ)
これらの赤い実は、寒くなると急激に数がへる毛虫や昆虫の代わりに、鳥の食べ物になります。

でも食べられてしまったらタネはなくなっちゃうじゃない?と思いませんか。
ところが実は食べられても、タネは包んだ殻で消化されないようになっているのです。 
一方、鳥は空を飛ぶので、体を軽くしておかねばなりませんよね。だから、食べられないタネだけはすぐに糞と一緒にだされるんですね。そして、肥料つきで、落とされたタネは芽が出るわけです。
また、鳥の胃や腸を通ることによってタネは水分を吸ってふやけて、芽が出やすくなるそうです。

 

5. 風にのって運ばれるもの

パラシュートみたいにゆっくりと落ちてくる間に風に飛ばされるタネもあります。

みなさんがよく知っているタンポポがそうです。タンポポの親分みたいなガガイモ(画像)もそうです。
ふ〜、ふ〜っと、タンポポのようにゆっくりと落ちてきます。、地球がタネをひっぱる力に対し、1ミリの1000分の1の細い綿毛が空気のネバネバにひっかかって(摩擦による抵抗で)落ちてきにくくなっているということです。
校庭で探すと、タンポポの他に、ススキ、ガマ、スズカケノキ、ノゲシ、ムクゲ、まだまだこの手のタネはありそうです。
これらは、皆、パラシュート型です。

回りながら風に飛ばされるものもあります。

これ、何ですか?(「モミジ」の声があがる)

くっついているのが、タネです。ドラえもんのタケコプターみたいな形になっています。
このタネはくるくる回るのですが、秋になるとこの2つの間が離れて、細い糸のようなものでくっついているだけになり、ちょっと風が吹けば外れて飛ぶようになっているのです。

校庭の中だと、イロハモミジ、トウカエデ、マツやアオギリ、ユリノキなどが回りながら風に飛ばされるタネをもちます。
この仲間は翼をもっていて、タネは必ず下の端(はじ)のほうにあり、上に翼があります。つまり重心(ある1点でその物体のつり合いがとれるところ)が端にあるということです
そうすると、落ちる時に回るのです。

また、つばさの表面を見るとギザギザになっていて、空気にひっかかりやすくなっています。
これをつるつるにすると回りかたが4分の1程度になってしまいます。(トンボやハエの羽も同じ、早く飛ぶものでなければ、流線形(先が尖った)ものよりギザギザが適しているそうです)

回りながら飛ばされるものには、こんなものもあります。
ツクバネは、ビャクダンの仲間で半寄生植物で2mくらいの木ですが、タネはこの4枚のハネでまわりながら落ちてきます。おかげで2mの高さから落ちても、タネが壊れることはありません。
見た感じと同じ、羽子板の追い羽根の元となったもので、室町時代までは実際そのように使われたそうです。タネが大きい割に翼は小さいのですが、早く回転することで、空気に対して面積的に大きく引っ掛かってゆっくりと落ちてくるしくみになっているそうです。

こんな感じで翼をもつものは、けっこう面白いものが多いです。

最後にハトのように飛ぶタネを紹介します。アルソミトラ  マクロカルパといいます。
日本名では、ガンドウカズラなどといいますが、日本にはありません。
インドネシアなど熱帯アジアにあるそうです。メロンやスイカのようなウリの仲間でつる植物だそうです。
ラグビーボールくらいの大きさの実の中に、びっしり400枚くらいこのようなタネが入っていて、秋に熟すと下が割れて、微風があると1枚づつふわりふわりと落ちて飛ぶそうです。
それを見た人が、グライダーを発明したというすごく有名なタネなんです。

すごくうすい破れやすい羽をもっていて、この真中にあるのがタネです。
ウリの仲間なのでスイカのタネにもちょっと似てますね。

このアルソミトラのタネは横に長い翼があり、タネがその中央にある。しかもやや前寄りにあって、ここが重心(その1点でどちらの方向にも倒れず支えることができるところ)になっているのです。
前よりに重心があることで、前方に落ちていくのですが、翼の前から1/4のあたりに揚力(舞い上がる力)が発生し、そこにちょうどタネがあって重心が保たれているので、くるくると回らないでグライダーのように滑空するとのことです。

滑空する能力は、翼を含むタネ全体の面積が、翼の長い方向を1辺とする正方形の面積にくらべてどのくらい小さいかで飛ぶ能力がわかるそうです。このタネだとその比率が4くらいですが、鳥などは8くらい、飛行機では20くらいだそうです。
重さも本物は0.2gで模型は0.5gありますからすごく軽い。
そしてうすい翼に多くのシワがあって空気に引っ掛かりやすくなっているため、滑空能力にすぐれているのですね。

それでは、これからタネの模型を数種類つくってみましょう。今紹介したアルソミトラの模型もありますよ。

できあがったら校庭に出て、一番南側の国旗掲揚塔に移動して、タネとばし競技会をしたいと思います。

では初めに、ニワウルシのタネ(模型)を飛ばしてみましょう。

この板の上に乗せて下さい。

旗の掲揚台の一番上から飛ばしてみましょう。

この板にはヒモがついています。このヒモをひっぱると板が傾いて、中のタネがいっせいに投げ出されます。

一番最後まで飛んでいたタネの作者には探検隊から賞品が出ますよ。みんな頑張って飛ばしてね。

(掲揚台からはアオギリのタネの模型、アルソミトラのタネの模型も飛ばしました)

こんどは、ラワンのタネの模型で遊びましょう。
この針金ハンガーで作ったパチンコを使って、ゴムにタネの模型を挟み、上に向かって引っ張って発射します。上の板の上にタネの模型を乗っけます。

・他の人に絶対に向けないこと。
・もちろん自分にも向けないこと。必ず上に向かってやってください。
時間は5分です。

板の上にラワンの模型が乗った人には賞品をあげましょう。

はい、飛ばしっこはこれで終わりです。

さいごに一言
今日は、紙ひこうきを作って飛ばしにきたんではなかったんですよね。
何でしたっけ。タネの話でしたよね。
みんな、さっき聞いたタネの話はどこか飛んでいってしまったでしょう。
最初に言いましたけど、植物は人間よりもずっと昔に地球上で生まれています。
先に生まれたもののことを何と書きますか。
先生(せんせい)と書きますよね。
植物は人間にとって先生です。
君たちが、興味をもって植物に接すれば、いろんなことを教えてくれるはずですよ。

ほんとうは本物のタネを皆で飛ばしてたくさん遊んで欲しかったのだけど、時間がありませんでした。
おみやげに袋に入った本物の3種類の飛ぶタネ(アザミ、カエデ、ニワウルシ)を用意してあります。あと、探検隊員の浦さんがとってきてくださった、ひっつき虫のオナモミがあります。
1つづつもらっていって、家で飛ばしたり、ひっつけたりして遊んでください。

今日はありがとうございました。

(タネの模型づくりと一部の資料については、国立科学博物館附属自然教育園の矢野亮先生、本物のタネについては、東京都環境学習リーダーの高野重春、三浦忠士、齋藤保次の3氏による多大な協力を頂きました。ここに感謝申し上げます。)