第12回 プールのヤゴ救出作戦

2000年6月5日


プール開きも間近な6月5日、本校6年生による、「プールのヤゴ救出作戦」が理科の授業として行われました。

1.ヤゴ救出作戦準備内容

まず、ヤゴ救出にあたって行った準備の内容です。

プールの水を排水するさいに、排水口からヤゴが流れてしまうことがないように、網戸とナイロンネットを重ねたものをプール底の排水口の上にかぶせ、4カ所に石をのせて固定しました。(まだプールが満水のときに行ったので、かなり過酷な作業でした。)その後、約40時間かけてゆっくりと排水をしました。これは排水時の水圧から少しでもヤゴを守るためです。
写真は過酷な作業の様子(田中さんが潜水して作業しているところ)です。

ヤゴをすくうアイテムとして、書類を整理するときに使う、四角い小さな穴の空いたプラスチックトレイをたくさん用意しました。

プールの底にトレイを差し入れ、そのまま壁ぎわまで移動してすくいあげると、ほどよく泥水が落ちて、小さなヤゴだけがひっかかるため、アミよりも扱いやすいといえます。

数を数える道具として、給食室よりシメジの入っていたトレイをたくさんもらいました。また、ペットボトルの下半分を切ったものも用意しました。

この入れ物の中に、10匹ずつヤゴを入れて集計していきます。1,000匹単位で数えるための発泡スチロール箱も10箱ほど用意しました。

この日のために、6年生は理科の古田島先生から事前指導を受けていましたが、当日の作業前にも集まってヤゴ救出の詳しい説明を受けました。
説明してくれたのは、しぜん探検隊でおなじみの田中つとむさんです。
プールで見られるヤゴにはどんなものがいるのか、ヤゴはどのようなタイプに区別して集計するのか、ヤゴ以外の水棲昆虫にはどんなものが見られるのか、ヤゴの標本や絵を使いながらの説明をしっかりと聞きました。

説明後6年生はプールへ移動しました。いよいよヤゴの救出作戦開始です。プールの水位はだいたい6年生のひざ下くらいになっています。

2.ヤゴ救出作戦開始

各クラス、プールの中に入って救出活動をおこなうグループ、つかまえたヤゴを指定された4つの種類(イトトンボ型、ギンヤンマ型、シオカラトンボ型、アカトンボ型)に分類し、分類されたヤゴの数を集計する2つのグループにわかれ、3クラスがてぎわよくヤゴを救出していきました。
1,000匹単位の発泡スチロール箱が増え、「こんなにいるの?!」というおどろきの声が聞かれました。

4時間目終了とともにひとまず6年生による救出作戦は終了しました。
終了後田中さんより、「ぜひ、自分たちでもヤゴを育てて成長の過程を観察してください。」とのお話があり、ペットボトルを利用した、かんたんなヤゴ飼育水そうの作り方の説明がありました。

翌日2時間目には、生活科の授業で2年生がヤゴの救出を体験しました。
前日、6年生が捕ったあとなので数はすくなかったものの、全員のこどもたちがヤゴをつかまえることができ、様子を観察することができました。

(写真はシオカラトンボのヤゴです)

集計したところ、2日間あわせて、「アカトンボ型ヤゴ」 6,803匹、「シオカラトンボ型ヤゴ」32匹、それに「アメンボ」、「コミズムシ」、「フタバカゲロウの幼虫」などがそれぞれ30匹程度いました。
プール内に水草やゴミなどが浮いていなかったためか、そういったものに産卵するギンヤンマやイトトンボのヤゴは1匹も見られませんでした。

ヤゴの一部は観察用に6年生の教室と理科室の水そうにうつされ、残りはすべてトンボ池に放流されました。

救出作戦で捕獲された生き物の写真はこちらです。

 

3.ヤゴ救出ネット参加について

学校のプールは、水泳指導が終了した後も防火用水としての役目があるので、年間をとおして水をはったままの状態になっています。水泳指導中は塩素の強いプールの水も、指導後は、太陽に照らされ、雨水もふりそそぐことで、次第に塩素が抜けていきます。

するとそこにトンボがやってきてプールの水に産卵します。都会ではトンボが産卵できるような水辺はしだいに減っていますので、トンボにとって学校のプールは大きな池も同然なのでしょう。

卵はあるものはヤゴに孵化して冬を越し、卵で冬を越したものは春先に孵化しヤゴとなります。しかし6月初旬になると、水泳指導が始まるために、ためていたプールの水はすべて捨てられ、プール自体も念入りに消毒されます。プールで育った羽化前のヤゴは、その時点で死滅することになります。

数年前より、松田先生が消毒する前のプールにネットを入れ、一部のヤゴを救出し、羽化させる試みをされていました。救出したヤゴは学校のミニたんぼに放されたり、ヤゴが欲しい児童に分けられたりしていましたが、昨年から、プール脇の池に水をはって、その池を「トンボ池」として利用することにしたのです。

そして今年度より、慶應幼稚舎:清水研助先生の主宰する「ヤゴ救出ネット」に、本校も参加することになりました。「ヤゴ救出ネット」では、全国の学校の、プールの水棲昆虫データを共有し、共に交流を深めることを目的にしています。

本校でもヤゴを中心に、プールに棲む生き物にはどのようなものがいるのか、その個体数、種の同定などを行っていきます。得られたデータについては「ヤゴ救出ネット」に掲載されるほか、このホームページでも随時紹介します。

「ヤゴ救出ネット」には本校を含む32校が参加しています。(2000年6月24日現在) 各校のデータ(本校のデータもあります)についてはこちらをごらんください。


  

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