日 時 2003年2月21日(金)
14:00〜17:00
 
場 所 霞が関ビル33階
東海大学校友会館 阿蘇の間
主 催 (株)情報通信総合研究所

 

『ブロードバンド社会の未来を拓く』
〜ネット社会の光と影を探る〜
第4回 シンポジウム

 

「ブロードバンド時代へのビジネスアプローチ
   〜情報コンシューマ市場を念頭において〜」

 小林 宏一 東京大学社会情報研究所教授
(現 東洋大学社会学部マスコミュニケーション学科教授)

 

 要点:

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 アメリカで大手出版社ランダムハウスのアン・ゴードフ解雇事件というのがあります。

 彼女には古い意味での文学者のパトロン的な部分があり、見込みのあるライターに事前にお金を渡して、書かせて、それを売るというふうな古い形の出版、編集者タイプの人でした。

 編集者としての趣味と、出版ビジネスとのバランスをとるタイプの彼女が、売り下目標を達成しなかったことを理由に解雇されたのです。

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 ブロードバンドビジネスの精神とは、本来そういう手塩にかける文化と深い関連があるのではないかと思います。

 自己実現的労働以外の何物でもないわけです。私が楽しいから仕事をする、その「楽しい」という部分は、さっきの女性編集者の趣味と実益の部分にも重なる、自分の文学的感性を満足させながら作家を育てる、私も楽しむけれどみんなにも楽しんでもらってそこそこもうけさせてもらいますよ、というような文化が、ブロードバンド情報ビジネスの真骨頂ではないかと私は思います。

 そうすると、それはある意味で、NPO的発想にも通じるのではないかというような感じをもっています。売れる、売れないという尺度とは別に、場合によっては売らない情報というものが、ブロードバンドの中で大きい意味をもつのではないかという気がしています。

 インターネット上に、電子同窓会をめざす「この指とまれ」というサイトがありますが、このサイトを100億で売らないかという話がきたそうです。しかし、これを立ち上げた経営者は幾ら出しても売らないと。つまり、手塩にかけたものは、どんなにもうかると思っても、金よりも自己実現を通じて育て上げてきた成果に価値を置くという発想です。

 最近、アメリカでウェブログとかブログというようなビジネスが出てきていますが、これもリレーション・ビジネスの1つでしょう。ネットの中で、それぞれの知識をもっている人たちが各自の個人性を生かしてコミュニケーションの輪をつくっていこうとしている、そういうふうなものでないのかと考えています。

 情報そのものでもうけるという時代はもう済んで、今言ったように、パブリック・ドメインなり、自己実現により楽しいから情報をつくるというような人たちが貢献する余地がますのではないかなどと感じています。

 

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